「もう堪忍して!地獄の極寒パックラフト!」第734回サルシカ隊がいく

投稿日: 2018年12月18日(火)19:02

2018年12月15日16日、
京都の笠置(かさぎ)キャンプ場にて開催されたサルシカ冬キャンプ。

キャンプの参加者は、ヴァナゴン太田、空飛ぶ若大将大澤さん、奥山ヨウちゃん、そしてサルシカ隊長のわたくしの4人。
ヴァナゴン太田と奥山ヨウちゃんは午後2時着予定。

若旦那とわたくしは午前11時に到着。
ほかの2人が到着するまでに戻る予定で、木津川をパックラフトでくだろうということになったのだ。

最初は順調だった。
川面を吹き流れる風は冷たかったが、あおられるほどではなかった。

川の流れも遅いながらもそこそこはあった。

カヌー、カヤックは経験済みだが、パックラフトははじめてという若旦那に、船の動きのクセと漕ぎ方のコツを教える。
5分もしないうちにクセをつかんだ若旦那は順調にパドルをこぎはじめる。

スタート地点は、笠置キャンプ場付近の河原。
ゴール予定地は恭仁大橋付近。

ネットで確認したが、距離で5キロちょっと。
普通のカヤックだと1時間ほどのコースだという。

パックラフトなのでもう少し時間がかかるとして、1時間半ほど見ておけばよいだろうと判断した。

45分ほどくだって休憩。
お茶を飲んで現在の居場所をiPhoneのGoogle Mapで確認する。
便利になったもんだ。
すぐさまGPSで現在の居場所がわかる。

えっ・・・・・?
マップの位置を確認して愕然とした。
予定ならば、もう半分ぐらい来てなくてはいけないはずである。
が、3分1ほどしか進んでいない。

確かに向かい風だったし、ウィスキーを飲んだり写真を撮ったりのんびりしすぎたのかも知れない。

12時15分にスタートしたので現在13時。
ヴァナゴン太田や奥山ヨウちゃんがキャンプ場に到着するまでに戻るのはすでにむずかしそうだ。

休憩をそこそこで切り上げ、再び川へ。

休憩したポイントから最初のカーブを曲がると、急に川幅が広くなった。
すると、一気に風が強くなる。

顔面に打ち付ける風が痛い。
パドルの手を休めると、パックラフトはすぐさまうしろに流されていく。
つまり、えんえん漕ぎ続けるしかない。

しかも。
水量が少なくて、船底が石にあたり、進めないところが出てくる。
200メートルほど川の中のじゃぶじゃぶ歩き、そして中洲へ。
写真は中洲にあがってから。
川の中での写真は、あまりに冷たすぎて撮影できんかった。

足が冷え、そして身体全体が冷えてくる。

あろうことか。
太陽も雲の中に姿を消した。

あっという間に寒さが忍び寄ってくる。

「もうイヤだ、漕ぎたくない〜、でも漕がないと寒い〜」

駄々をこねる若大将。

「誰だよ〜、こんな寒い時期にパックラフトやろうって言ったのは〜」
「隊長ですやん」
「大澤さんもやろうやろうって言ったやん」
「僕のせいですか!」

醜い責任転嫁が繰り返される。
その中でわれわれふたりは学んだのだ。

カヌーを楽しむのはせめて11月。
紅葉のシーズンぐらいまでにしよう。
風の強い日はパックラフトをやめよう。
デブはすぐに暑くなるからといって薄着でチャレンジするのはやめよう。

この3点である(笑)。

午後3時前。
ようやくゴールの恭仁大橋が見えてきた。
風もやみ、陽射しが注がれる。

「た、たすかった・・・・!!!」

われわれは同時にそう声に出した。
辛く長い1時間45分の船の旅が終わったのだ。

河原でパックラフトの空気を抜いて、河原から堤防へとあがる。
足ががくがくしている。
腕や胸の筋肉はぷるぷるしている。
今にも攣りそう。

「早く車の中へ!」
「エンジン点火! ヒーター全開!!」
「荷物を放り込んで中に飛び込め!!」

「は〜、しあわせ〜、もう当分カヌーはしなくてええですわ、わはははははは」

辛いことを乗り切ると、人間はなぜか笑えてくる。
無意味に笑う。

「もう太田さんたち到着してますかね?」と若旦那。

「そりゃあしてるだろ」と隊長のわたくし。
「きっとタープをもうすっかり張り終えて、そのなかで薪ストーブを炊いてアチアチにして我らをまっていてくれるはずさ!」
「ですよね!!!!」
「あああ!!」

冷え切ったふたりを乗せたハイエースは、期待を詰め込んで笠置キャンプ場へと到着したのであった。

「おおおおおお、太田さんのヴァナゴンだ!」
「わあああああ、スノーピークのリビングがすでに出来上がってますよ!!」

全身コチコチの若旦那と隊長のわたくしは喜び勇んだ。

われわれが到着すると同時に、遅れていた奥山ヨウちゃん到着。
さっそく自分のテントの準備をはじめる。

コチコチ若旦那とわたくしは簡単にパックラフトを片付けてスノーピークのリビングに飛び込んだ。

「あれ? 遅かったね、君たち、2時じゃなかったのかな」

太田さんはわざとらしく時計を見つつ、そしてさらに大げさにいうのであった。

「いやー、風の強い中、ひとりでタープを建てるのは大変だったなあ、薪ストーブも重たかったしなあ」

が、その薪ストーブは設置されているだけで火は入っていなかった。

「あれ? 寒かった?」

ヴァナゴン太田はこういう悪魔のような人間なのだ。

ストーブに火を入れる前に、われわれは温泉に行くことにした。
このキャンプ場のすばらしいことのひとつは、10分ほど歩けば日帰り温泉に行けることである。

しかも、入場時に100円の割引券をもらっている。
通常800円のところ700円!!

ちなみに温泉は、
天然わかさぎ温泉 笠置いこいの館。

屋内風呂は大きく、露天風呂もあり。
泉質はナトリウム一炭酸水素塩・塩化物温泉。
冷えていたせいもあろうが、もうお湯が全身に染み渡るように温まった。

施設内には食堂や土産物屋さんもあり。
充実した温泉施設だ。

実はわたくしは2度ほどここの温泉に入ったことがあった。
京都のコストコに行く際にこの笠置のまえを通るので、立ち寄ったことがあったのだ。

・天然わかさぎ温泉 笠置いこいの館
  http://kasagi-ikoi.com/

12月の土曜日。
河原のキャンプ場はほぼ一杯であった。
家族連れも多かったが、若者同士のキャンプ、そしてソロキャンパーが多かった。
中でも女性ひとりのキャンパーが結構いて驚いた。

時代は変わりつつあるのだなあ。

さて、次回最終話。
いよいよキャンプ編。

が、これまた慌ただしい宴のスタートなのだ(笑)。